マルチバンドGNSS:L1 + L5が重要な理由とアンテナに求められる要件
20年にわたり、量産市場向けの測位といえばGPS L1という1つの信号を意味していました。現在では、低コストの受信機チップセットが4つのコンステレーションにわたって2周波、さらには3周波を追尾し、メートル級以上の精度がアセットトラッカー、ドローン、農業機械、配送ロボットにまで広がりつつあります。しかし、アンテナはいまだに何も変わっていないかのように選ばれることが多く、デュアルバンド受信機にシングルバンドアンテナを組み合わせると、その利点は気づかないうちに失われてしまいます。
信号
現在、4つの全地球コンステレーションはすべて、Lバンドの2つの主要な領域、すなわち1560~1610 MHz付近の上側帯域と1165~1300 MHz付近の下側帯域で、民生用のオープン信号を放送しています。
| 帯域 | 中心周波数 | コンステレーション/信号 |
|---|---|---|
| 上側Lバンド | 1575.42 MHz | GPS L1、Galileo E1、BeiDou B1C |
| 上側Lバンド | 1561.098 MHz | BeiDou B1I |
| 上側Lバンド | 1598–1606 MHz | GLONASS L1 (FDMA) |
| 下側Lバンド | 1227.60 MHz | GPS L2 |
| 下側Lバンド | 1207.14 MHz | Galileo E5b、BeiDou B2b |
| 下側Lバンド | 1176.45 MHz | GPS L5、Galileo E5a、BeiDou B2a |
1575.42 MHzと1176.45 MHzは、いずれもGPS、Galileo、BeiDouで共通であることにご注目ください。これが、新しいデュアルバンド設計でL1 + L5が標準的な組み合わせとなった理由です。2つの周波数で、3つのコンステレーションの最新信号を同時に利用できます。L2は、測量用途や既存の業務用機器では引き続き重要です。
2つ目の周波数がもたらす利点
- 電離層補正。電離層はGNSS信号を周波数に依存する量(1/f²に比例)だけ遅延させ、これは通常、単一周波数受信機における最大の誤差要因です。同じ衛星を2つの周波数で測定することで、受信機は放送モデルに頼ることなく、1次の遅延を算出して除去できます。
- マルチパス耐性の向上。L5とE5aのチップレートは10.23 Mcpsで、L1 C/Aコードの10倍です。相関ピークが鋭くなるため、直接波と建物からの反射波を分離することがはるかに容易になります。これは都市部で最も支配的な問題です。
- より強く、保護された信号。L5はL1 C/Aより高い電力で送信され、航空無線航行用に確保された帯域にあるため、干渉に対する保護が一段と強化されています。
- より速く、より信頼性の高い高精度測位。RTKおよびPPPでは、2周波測定により搬送波位相のアンビギュイティ決定に要する時間が大幅に短縮され、長い基線でも解の安定性が高まります。
アンテナに求められる要件
上側帯域と下側帯域は約400 MHz離れています。従来のL1用単一給電セラミックパッチは、使用可能な帯域幅が数十MHzしかないため、1176 MHzにはまったく応答しません。マルチバンドGNSSアンテナには、異なる放射構造(一般的には積層パッチ、複数給電の広帯域パッチ、またはヘリカル素子)と、入念に設計されたアクティブ段が必要です。マルチバンドアンテナを比較する際は、次の点をご確認ください。
- L1だけでなく、すべての帯域での利得。下側帯域と上側帯域それぞれについて記載された天頂利得(dBic)を確認してください。下側帯域がやや低いのは一般的ですが、値が明記されている必要があります。
- 偏波と軸比。GNSS信号は右旋円偏波(RHCP)です。反射すると偏波は左旋に反転するため、円偏波特性が良好な、つまり軸比の低いアンテナは、原理的に反射信号を除去します。このマルチパス除去性能は、両方の帯域で確保されている必要があります。
- LNAの雑音指数(NF)と利得。アクティブアンテナでは、初段アンプが受信系全体の雑音指数をほぼ決定するため、低いほど良好です。LNA利得(一般に25~30 dB)は、受信機の入力を過負荷にすることなく、ケーブル配線の損失を補える十分な値である必要があります。
- フィルタリングと帯域外除去。アンテナがセルラーモデムの近くにある場合、強いLTE送信によってGNSSのLNAの感度が低下することがあります。たとえば、LTE Band 13のアップリンク(777~787 MHz)の第2高調波は1554~1574 MHzに現れ、L1のすぐ隣に位置します。LNAの前段に適切なプリフィルタを設けることで、トラッカーは送信中も動作を維持できます。
- 位相中心の安定性。RTKグレードの用途では、アンテナが信号を受信しているように見える点が、仰角・方位角・周波数にかかわらず安定している必要があります。メートル級の追跡用途では、重要度はかなり低くなります。
- グランドプレーンと取付方法。パッチアンテナは特定のグランドプレーンを想定して調整されています。金属面へのマグネットマウントまたはネジ止め固定は、一般に天頂方向の利得を高め、下方からの反射波の受信を低減します。アンテナは他の送信アンテナから離し、上空の見通しが良い場所に設置してください。
マルチバンドは必要か
| 用途 | 一般的な要求精度 | 推奨構成 |
|---|---|---|
| 基本的な資産追跡・フリート追跡、タイミング | 数メートル | 通常はシングルバンドL1のマルチコンステレーション対応で十分であり、コストも最も低く抑えられます。 |
| 都市部での追跡、マイクロモビリティ、車線レベルのナビゲーション | 約1メートル、高層ビル街でも安定 | L1 + L5はマルチパス耐性により明確な効果が得られます。 |
| ドローン、精密農業、マシンコントロール、測量 | デシメートル~センチメートル(RTK / PPP) | マルチバンド(L1 + L2および/またはL5)と、軸比が低く位相中心が安定したアンテナの組み合わせ。 |
いずれを選ぶ場合でも、アンテナと受信機は適合している必要があります。マルチバンド受信機をL1専用アンテナに接続すると、L1専用受信機として動作します。
当社の製品ラインアップ
- GNB-55 – GPS L1 / L2 / L5、BeiDou B1、GLONASS L1に対応し、LNAとフィルタを内蔵した高感度・低背のアクティブアンテナ
- GNSS / GPSアンテナ一覧
- コンボアンテナ – GNSSとLTE / 5G、Wi-Fiを1つのハウジングに統合
- GNSS基礎知識:全球測位システムの一般知識
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